正論ほど空虚なものはない
人気ユーチューバーの、コレコレさんと言う方がいるそうです。
この方が渋谷の喫煙エリアを訪れ、エリアの外で喫煙している方に対して
「ここで吸ってはいけないです。[エリアの]中で吸ってください。」
と声掛けをする動画を投稿しました。
さすがは人気ユーチューバーだけあって、動画の編集や音声、テロップ等が非常に上手いのですが...
この声掛けが行動が、動画再生回数を稼ぐ目的の域を出ていないように思えてなりません。
コレコレさんの言うことは正論であり、エリアの外で吸う人が悪いのは明白です。
ですが、警官や区職員でもない、単なる一般の人が注意して回ることを鬱陶しく感じられるは容易に想像できます。
この理屈は、ミドリムシでも見られると思います。
日本には駐車監視員という、放置車両確認事務の業務を委託された民間法人の従業員がいるのですが、緑色の制服姿から「ミドリムシ」と蔑称されています。
コレコレさんも、これと同様の見なされ方をしているのであり、なおかつ委託も何も受けていない動画撮影目的の人が言って回っているのです。
ウザがられる要素だらけです。
ここで私事を述べますが、私は非喫煙者です。
煙草は百害あって一利なし、に完全に同意をするのですが、それでもコレコレさんには賛同できかねます。
むしろ
「悪態をつく喫煙マナーの悪い人が現れたら、最高の動画が完成できるのではないか?」
と皮肉を思ってしまうほどです。
いかんせん、同様の行動をするのでしたら7歳でもできるからです。
超が付くほどの有名人(らしいです。私は存じないのですが。申し訳ない。)なのですから
- どうしてエリア外で喫煙するのか。その理由を問う。
- どうしたら、エリア内に入る動機ができるのか探る。
- 社会心理学者に取材する。
等々、7歳ではできないレベルの撮影をできる気がしてならないのです。
正論を言って回る様は、蚊が大きな羽音を立てて喫煙者の周りをブンブン飛んでいるようにしか思えません。
ナッジ、つまり人々の意思決定を強制や指示ではなく、選択の環境を設計することによってより良い方向へ導く、ということに至らないのは大きな失敗に思います。
時として、正論を封じることが必要ではないでしょうか。
肥満の人に
「あなたは太っている。ダイエットが必要だ。」
と申して
「はい、わかりました。」
という展開になることは、どれほど多くあるのでしょうか。
私はこの動画を実に空虚に感じるのでした。