天国では自由になれるのか
人間は死後、天国に行くことになっているそうです。
(地獄と言う概念がありながらも、行く先は天国と決まっているらしい。)
ともあれ、死後の世界は天国と決まっているとします。
悲しみや苦しみの無い、現世とは完全に異なる世界に行くことは「自由になれる」ことを意味するのでしょうか。
そもそも「天国とは何か?」と申したところで、証明ができません。
しかし古今東西で語られるエピソードで共通するのは、そこが「無限の楽園」であるということです。
さしあたり、食料が豊富にあり、ワインの湧き出る泉があり、病気になることがない。
一見すると自由な世界なのですが、真に自由なのでしょうか。
このような世界においては、酒乱の宴会を越える乱れた食事会が繰り広げられることでしょう。
食事は無限にあるのです。「もったいない」という概念が存在する余地がなく、食べ残そうが無駄にしようが、いっさい気にする必要がありません。
また、服にしても豊富にあるわけです。ブランド品、キンキラの服、大きな宝飾品。
安物が存在しないのです。贅沢な品物しかありません。
更には苦労することがないので、ろくすっぽ運動をしません。
病気にならないので日々の節制をしません。
病気にならないことには性病(加えて、望まない妊娠を決してしない。)にならないことも含まれていますので、不特定多数との性交渉も爆発的に増加することでしょう。
これらは自由の結果として大いに予想できましょう。
しかし、これらを「自由」と呼ぶよりも「退廃」と呼ぶ方がふさわしいのではないでしょうか。
どうも人間とは「別世界」「天国」「解放された世界」などど呼ぶ世界における「自由」とは、単にタガが外れた状態を指しているのではないでしょうか。
これは理想的なのでしょうか。
そういった姿は憧憬の対象となるのでしょうか。
むしろ、明らかに忌避されるべき対象とされます。
ならば理想的な状態とは、節制をして自由を管理下においた生活ではないでしょうか。
強制とは最大の苦痛を生み出すものです。
しかしながら、対極の自由にしてもバラ色と呼ぶことに私はためらいます。