お説教で、ひきこもり&不登校を治せるか?



私が常々、疑問に思っていることがあります。
ひきこもり&不登校に、お説教をする人たちです。

私自身、山のようにお説教されました。
ネットでも「不登校です。」との書き込み対して、お説教を展開するリプライ(返答)を見たことがります。

お説教って、有効なんですか?
叱りつけている、本人が気持ちいいだけで、効果が無いのでは?


ここで煙草の話をします。
喫煙は健康に悪いです。喫煙者本人も、そのことは理解しています。
「将来は、肺がんで死ぬと思う。」と言いながら煙草を吸う愛煙家を見たことがあります。

こういう人に「煙草は体に悪い!やめんかい!」と説教をしても、効果があるとは思えません。
説教をしたところで「わかった、わかった。」と適当に相槌を打ちながら、紫煙をくゆらせる続けると思います。

では、卒煙を諦めるべきでしょうか?
そうではなく、アプローチを変えてはどうでしょうか?

例えば
「どういう時に吸いたくなりますか?」
と聞いて、喫煙習慣の傾向を探る。

「暇な時に吸いたくなる。」
「口が寂しい時に吸いたくなる。」
「ストレスを感じた時に吸いたくなる。」
こう返事がきたら

「暇なときはスマホでお笑い動画を見て意識を煙草から逸らそう。」
「口寂しいときはキャラメルを。」
「ストレスにはヨガを。オフィスでも実践できるポーズがある。」
このように、実際の場面で役に立つ対処法を考えていくのです。

こちらの方が、まだ有効だと思います。
そもそも、愛煙家たちは、喫煙のリスクを知りたいとは思っていないはずです。
「どうすれば、煙草を吸いたい欲求を回避できるのか?」を知りたがっているのではないでしょうか。


話をひきこもり&不登校に戻します。

よくバラエティーで、ひきこもり&不登校を、お説教で救済(!?)する施設が取材されています。

(こういう施設の取材が何故、バラエティー枠で放送されるのか、私には謎です。たとえ夕方のニュース番組内で放送されても、バラエティー色が否めません。そして何より、専門家へのインタビューをしないことが多々あるのは、どういう理由なのでしょうか。)

お説教をする施設は民間企業であり、ビジネスとして救済(!?)活動をしています。

ひきこもり&不登校の当事者を自前の施設に連れて来ると、一方的に「あれやれ、これやれ。」と指示してくるそうです。

「家に居て運動不足だ。運動をしろ。」
「通学していないから勉強不足だ。勉強をしろ。」
「職歴がない。就労訓練をしろ。」
こういった指示をされるそうですが、これらの三つは確かに大事ですが、一番大事なことが欠けています。

当事者に対して
「そもそも、社会的な関係の何が苦手なの?その苦手に上手に対処できるようにして、再びひきこもりor不登校にならずに済むようにしよう。」
と、きちんと面談することです。

私は民間施設を経営する人の著作やブログ記事を読んだことがあるのですが、その内容は
「ひきこもり歴15年。ぶくぶくに太っていた!とんでもない!」
「風呂に入っていない。ともて臭い!とんでもない!」
「掃除をしていない。自室はゴミ部屋!とんでもない!」
と、すさまじい実態の非難だらけです。
おぞましいのは事実なのでありますが・・・

他方で、当事者ととことん向き合い、苦手なことや困っていることを解明していった事例が書かれていませんでした。
(原稿を書く際に書き忘れたのか、そもそも向き合うことをしていないのか。私には判断できかねます。)

社会的関係が苦手だから、ひきこもり&不登校になっている。
この根本原因に向き合わず、ただお説教をする。
「このまま将来どうするの!」と言うのは、喫煙者に「肺がんになるよ!」と言って効果が無いのと同じにしか思えません。

個人的には、お説教より解決策を二人三脚で見つけていくのが望ましいと思っています。