リセットできることは良いことなのか
「リセット」
何と甘美な響きでありましょうか。
別の単語で言うと
「チャラにできる」
「無かったことにする」
とも言えましょう。
しかし、リセットが良いことなのかは疑問の余地があります。
2009年2月のこと。
アメリカで活躍する女性歌手のリアーナが、交際相手の男性歌手クリス・ブラウンからDVを受けました。
生々しい傷跡の顔写真がマスコミに流れ、事件は当時センセーショナルに扱われました。
これを受けて、ティーンエイジの女の子向けの雑誌『セブンティーン』のアメリカ版は、読者からのDV体験談を特集しました。
筆者はその体験談のいくつかを読んだのですが、おおむね共通することは以下の通りでした。
「彼との交際が始まった。
しばらくすると、きつい一発をくらわされた。
翌日、彼が謝りに来た。
私は許した。でも、それはミスだった。
暴力は更にエスカレートし、私は逃げ出した。」
ここで筆者が指摘したいことは
- 彼女らはDVボーイフレンドとの関係のリセットに応じたこと。
- しかし、リセットしたところで何の意味もなかった。
ということです。
むしろ、関係をリセットしたことをミスであったと悔いています。
次に、筆者のリセット体験を語ります。
私は滅多にゲームをしないのですが「株式投資ゲーム」をやったことがあります。
実際にお金を運用しないけれども、本物の株価に連動して運用されているゲームです。
いらぬ話ですが、私は
「おぉ!株の達人になって、不労所得だけで生きていけないだろうか?
まずはゲームで練習だ。えへへへ。」
などと、下心丸出しで挑戦してみたのです。
しかしながら、ゲームを始めてみると損失が出ました。
別の株式を買ったのですが、やはり損失が出ました。
更に別の株を買っても、やはり損が出ました。
嫌になった私は、あることに気がつきました。
「おや、リセット機能がある。」
私は天の助け!と言わんばかりにリセットをしました。
そして、上機嫌にゲームを再開したのですが、再び損失を出しました。
ここでようやく、私は冷静になりました。
よくよく調べてみると、大手証券会社のファンドマネージャーであっても、株式投資で勝つことは難しい。
多くの負け(損)を作りながら、やっとこさ勝ち(利益)を作って、黒字になっている。
これが実態でありました。
私にとって必要なのは、リセットをすることではなく、株式投資の実態を調べることでした。
セブンティーンの読者投稿に戻りますが、彼女たちも必要なのはボーイフレンドの素質を見抜くことでした。
リセット。
それにはメリットもありましょうが、反省こそが最も肝心であり、それを欠いては何の意味を成すのでありましょうか...