ひきこもりが美容室行こうとすると、こうなる。


 

私はいつも、髪の毛をセルフカットしています。

私みたいな地味なひきこもりにとって、美容室というオシャレな場所になんか行けません。

敷居が高すぎで、気後れしてしまいます。


ですが先日、ネットで美容室の広告を目にしました。

「ネット予約限定!新規登録者のみ、激安プライスでカットします!」

こ、これは・・・。


価格の安さに引かれて、思い切って予約をしてしまいました。

ですが、予約をした翌日から緊張感が・・・。

「あぁ、予約してしまった。大丈夫かな?」


でも、ずーっとセルフカットでしたので、ここはプロの美容師さんにカットしてもらいたい。

なので思い切って、行ってみることにしました。



予約日の前夜は、興奮のあまり眠れませんでした。

当日の朝も、ご飯がのどを通らず。

そして、予約時間の2時間前に自宅を出発。


当然のことながら、美容室前には予約時間よりも大幅に早い時間帯に到着。

朝一番の予約だったので、美容室は開店前でした。


しかたなく、近隣をウロウロしていると、通行人の冷たい視線を感じました。

「なあに?あの人! ひきこもりじゃない?」

「うわぁ、ひきこもりじゃないか?」

「最悪だ!ひきこもりがいる!」

私は冷や汗をかきながら、黙って耐えていました。


すると、一人のおばさんが声をかけてきました。

「ちょっと、アンタ!ひきこもりでしょ? これから何をするつもりなの?」

「ひぇっ!? い、いえ、私はひきこもりではありません。」

私がこう答えると、おばさんはムッとしました。

そして、急ぎ足でどこかに消えました。


それから5分後、おばさんは台所包丁を手にして怒鳴りつけてきました。

「ふざけるな!嘘なんかつくな! アンタ、絶対にひきこもりでしょ?」

「ぎゃぁぁぁ、すみませーん。私、本当はひきこもりです。」

「これから何をするつもりなんだ?」

「び、び、美容室に行きます・・・。」

私がこう答えると、おばさんは更に激高。


「ふざけるなー!ひきこもりのくせにー!」

と言いながら、おばさんは私の腹部に包丁を刺しました。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


騒ぎを聞きつけた警官がやって来て、私は逮捕されました。

(対して、おばさんは英雄市民として表彰されました。)

そして、病院に・・・ではなく、取調室へ連れていかれました。


「おまえ、なんで美容室に行こうとした?」

「か、髪を切ってもらいたくて・・・。」

「ひきこもりが美容室に行くのは犯罪なんだぞ。」

「・・・・・。」

「出入国管理法違反になるんだよ! バカめ!」

「・・・・・。私はどうしたら、いいのでしょうか?」

すると、刑事は少し考えた後に、ハサミを持って来ました。


「自分で髪を切るんだ。そうしたら、自由の身にしてやろう。」

結局、いつも通りのセルフカットになりました。