残念な湘南・江の島散策
「ひきこもりであるにも関わらず、散歩がしたい・・・。」
こんな、いけない願望を持ってしまった私。
とんでもない大罪ではあるが、叶えたくなってしまった。
念のために警察に電話相談してみたところ
「きみ!ひきこもりなのに、散歩なんかしたら現行犯で逮捕するからね!」
と、声を荒げて怒られた。
でも、散歩がしたかった。
そこで私はアマゾンで「わたしぃは、ひきこもりぃではありまぁせぇん。」と書かれているジャージを購入。
「よし、これを着ていれば大丈夫だ。それどころか、パリコレのモデルに間違えられるに違いない。うししし・・・。」
とニタニタしてしまった。
さてはて、ジャージの効果は抜群だった。
誰も通報しないのだ。
上機嫌になった私は、モノレールの湘南江の島駅まで足を運んだ。
冒頭の画像(写真)をご覧頂きたいのですが、駅舎を新しく建て替えたそうで、話題になっているらしい。
なんでも、最上階に展望テラスが設置されていて、きっぷを買わなくても行けるとか。
「これは期待できそうだ。」
私はワクワクしながら向かった。
やや緊張しながら、 エスカレーターという自動的に動く階段に乗る。
「こ、これは・・・!」
なんということだ!階段そのものが上昇していくではないか。神秘的なこと、画期的なこと、革命的なこと。
この摩訶不思議な階段に乗ること数回。すると案内板が見えてきた。
ルーフテラス!
「ついに、ついに来たか・・・」
気がつくと、私の両目から涙が。散歩にでて良かった。
「どんな景色がまっているのだろう。」
やや興奮しながら、行ってみると
「海が一望できない。」「江の島が見えない。」「高さが中途半端で、いまいちの展望。」であった。
期待外れだ。残念だ。
呆然としていると、緑色の作業服を来た二人組がやってきた。
手には探知機を持っている。
ピー、ピー、ピー。
探知機がけたたましい音を鳴らす。
まさか、ひきこもりハンター!
「おい、探知機が反応したぞ。ひきこもりが散歩をしていないか!」
二人組の視線が私に注がれる。しまった、大ピンチ!
がしかし、ジャージを目にするや
「あ、違いましたか。どうやら探知機の誤作動のようですな。」
と、引き返して行った。
なんとも虚しい一日であった。
※この記事の内容の70%くらいはフィクションです。